すたまっく

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1人のアイドルと1曲のアイドルソングで人生が変わった話

アイドルという存在は、私の人生の転換点の一つだった。

世の中でAKB48が大ブレイクした時、私はまだ中学生だった。クラスの誰もに推しがいて、教室の壁にはメンバーのクリアファイルが飾られたりした。握手会や公演に行くほど熱心なファンだった友人が、パソコンで公演の動画を見せてくれていたけれど、その時の私は、アイドルはおろか、芸能人という存在にまったく興味がなかった。流行りのドラマもアーティストも、何も知らないエンタメ性のない学生だった。

出し物で女子がAKBを踊ることが定番だった。興味もないのに友人に無理やり見せられ、あるMVのメイキング映像を見た。すべてが変わった。アイドルってこんなに泥臭いのか。自分もこんな風にワクワクする何かをつくりたい。特にやりたいこともなく、目の前のことに打ち込むことしかできなかった私に夢ができた。嫌々見させられたMVが、学生だった私の世界を広げた。その日から何度もMVを見た。きっと、260万ある再生回数のうち1000くらいは私だと思っている。

この時に興味を持ったのはMVだけで、歌っていたアイドル自体にはまったく興味を持たなかった。そのアイドルグループに興味を持ち、この曲のセンターに惹かれるのは、MVに出会ってから3年後。将来の進路を考え始めた時だった。

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大学を決めるということは、卒業のその先にある進路を決めることにもなる。あのMVに出会った時から、自分の夢は決まっていた。受験校も学部もある程度定まった高校2年の冬。年末の大型歌番組で、1人のアイドルに心を奪われた。後から知ったことだが、その時彼女は精神的にも肉体的にも疲弊していた時期だったという。しかし、限界状態がつくりだした妖艶さと危うさに、私は心を惹かれた。もしあの時、彼女がベストコンディションでベストパフォーマンスを披露していたら、きっと私は今この文章を書いていなかっただろう。

受験前に一度だけと、初めてシングルを買って1枚だけの握手券を握りしめて赴いた幕張メッセ。がちがちに緊張した面持ちでブースに入った。彼女に話す隙を与えないまま自分の想いを10秒間にぶつけた。私がニコリともせず必死の形相で話していたからか、彼女も真剣な表情で話を聞いてくれたことを今でも思い出す。「待ってるね」。これが、剥がし間際に彼女がはじめて発した言葉だった。覚悟が決まった。この言葉を頭の中で何度も反芻させ、私は受験に臨んだ。今思えば、アイドルに一言も喋る機会を与えずに個人的事情を喋り倒すというありえない握手をしてしまったと、思い出すたびに悶えているが、あの数秒の時間が、今もなお私の人生を支えている。 

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学生時代の私に初めて夢中になれる夢を与えてくれたMVこそが、AKB48の『大声ダイヤモンド』であり、心を奪われたアイドルこそが松井珠理奈だった。だからこそ『大声ダイヤモンド』は、推しがセンターを務めた曲だから。というよりも私的な事情で思い入れのある楽曲だった。来年から新生活が始まる。人生の一つの区切りを迎える2017年の終わりに、思ってもみなかった人生が始まるきっかけとなったこの曲を聴きたくなり、迷う間も無く『大声ダイヤモンド』に票を入れた。

珠理奈が大声にこだわるのも、言ってしまえば珠理奈自身の個人的な想いからだ。自分がはじめてセンターを務めた曲、つらい思いを乗り越えた曲、アイドルとして人前に立つということの過酷さを学び、センターとしてトップに立つことの意味を思い知った曲。アイドルもファンも、楽曲には人の数だけ想いがある。

私の人生を変えたように、紅白歌合戦で『大声ダイヤモンド』を聴いて、珠理奈のパフォーマンスを見て、何かが突き動かされる人がいてくれたらいいな。もしかしたら、珠理奈の行く道も変わるかもしれない。そんな想いで、票を投じた。

大声ダイヤモンドに出会った瞬間、松井珠理奈に出会った瞬間の突き動かされるような衝動を、多くの人に感じてもらえるように。

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【MV full】 大声ダイヤモンド / AKB48 [公式]